理想の場所へ

 長い間、ぐるぐると同じところを彷徨っているような気がする。僕には、そろそろ変化が必要だ。この虚無の輪を抜け出して、理想の場所へと歩み出すには、少しずつ、少しずつ、何かを変えていくしかない。  決して一足飛びではないこの...

誘いのホール

<背景>老人が落とした大事な歯車が転がっていった先は、壁の穴の中だった。それが参加料とみなされ、彼はネズミの奇術師の謎のイベントに強制参加させられることになるのだが……。  小鳥の指す方へしばらく進んでいくと、霧の...

真紅のバラ

 真っ赤なバラはまだ咲いているか、きっと僕は確かめに来たのだろう。すっかり空白の多くなった円形花壇を、ジグザグに歩いていく。入り組んでいるが、僕にとっては馴染みの道だ。  まばらに残った植物たちがあちらこちらに寄り道を誘...

おかしなダイアル錠

調査対象:太陽の刻印の家報告者:調査員02 —— 報告 —— 入り口のドアは、鍵がかかっているのか開かず。ノブ付近にダイアル錠のような形状のものを発見したため、解錠方法を模索中。 ダイヤルは内側と外側がそれぞれ回せる構造...

水面の模様

 たゆたう水面に、美しい模様が浮かんでいる。僕はそっと近づいて、それを眺めた。不規則に続く曲線に目を這わせていくごとに、心に安らぎが広がっていく。 ・・・ 続きはこちら→note(メンバーシップ限定)

嘘つきな小鳥

<背景>老人の大事な歯車が転がっていった先は、壁の穴の中だった。それが参加料とみなされ、彼はネズミの奇術師の謎のイベントに強制参加させられることになるのだが……。  ドアを開けると、外には霧が立ち込めていた。...

ステンドグラスが語るもの

調査対象:廃喫茶店報告者:調査員01 —— 報告 —— 目的の場所に繋がる路地が見つからず、調査員02と辺りを分担して探索中。 家々が立ち並ぶ中に、かつて喫茶店か何かだったと思われる建物を見つけたので、立ち入ってみた。内...

まっさらな箱

 真っ白な箱が一つ、ぽつんと落ちている。表面には何の模様も文字もなく、蓋らしきものも見当たらない。僕は自分の顔ほどの大きさのそれを持ち上げて、いろんな角度から眺めてみた。軽く、傾けても何の音もしない。そして、開けられるよ...

幻の扉

<背景>老人が落とした大事な歯車が転がっていった先は、壁の穴の中だった。それが参加料とみなされ、彼はネズミの奇術師の謎のイベントに強制参加させられることになるのだが……。  床板の濃淡から導き出した怪しい箇所...

石畳の刻印

調査対象:ねじれた放射状の路地報告者:調査員02 —— 報告 —— 目的の場所に向かう路地がなぜか見当たらないため、手分けして付近の調査にあたることになった。調査員01とはまだ合流できていないが、少し気になるものを発見し...