誘いのホール

<背景>

老人が落とした大事な歯車が転がっていった先は、壁の穴の中だった。
それが参加料とみなされ、彼はネズミの奇術師の謎のイベントに強制参加させられることになるのだが……。

 小鳥の指す方へしばらく進んでいくと、霧の中から徐々に建物らしきものが見えてきた。何の建物かは分からないが、とにかくこの一寸先も見えないという孤独からは逃れられそうだ。老人の歩みは自然と早くなっていた。

 大きなアーチ状に開いた入り口をくぐると、中には小さな長方形のホールがあった。がらんとした空間に足音が響く。彼は無意識にネズミを探していた。このホールからは四方八方に廊下が伸びており、一体どこに進んだらいいのか分からなかったのだ。

 しかし、いくら経っても奴が出てくる気配はなかった。彼は、途方に暮れて床に目を落とした。ごちゃごちゃとした柄が忌々しく感じられる。どうしてこんなことに巻き込まれなければならないのか、全く分からなかった。そもそも、奴は本当にあの歯車を返してくれる気があるのだろうか。ため息がこぼれる。

 その時、その忌々しい柄の一つが、意図せず彼の目に飛び込んできた。それはハート型の黒いマークだった。もしかするとこれは……。その周りの柄も一つ一つ確認してみる。すると、予想通りそれらは全てトランプのマークで構成されていることが分かった。

 これは明らかに、奇術師である奴が仕掛けた謎だった。これを解いて進め、ということだろう。

「まったく憎らしいネズミだ」

 老人は、どこか少しほっとしている自分を振り払うように小さく呟いた。

<問題>

Sからスタートして法則通りに進むとどの出口に着く?
<ヒント>




















マークには色と形の2つの要素があります。
<答え>




















色か形のどちらかだけが共通するマークの間だけを通っていくと、下図の青い星印の出口に着きます。

🌀表紙迷路に戻る|#4

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