
<背景>
老人の大事な歯車が転がっていった先は、壁の穴の中だった。
それが参加料とみなされ、彼はネズミの奇術師の謎のイベントに強制参加させられることになるのだが……。
「戻っていらっしゃると信じていました。さあ、さっそく箱を開けましょう」
ネズミが小箱に両手をかざしながら、老人の伝えた合言葉を大仰に唱える。すると、上板がバネに弾かれたように跳ね上がり、側面との間に数ミリの隙間ができた。
彼は奇術師らしい仕草で、もったいぶりながら蓋を開ける。中に入っていたのは、一枚の小さな白い羽根だった。老人はそれを見た瞬間、胸がキュッと締め付けられるのを感じた。
「おかしいですね。ここに幸運の鍵を入れておいたはずなんですが」
わざとらしい声色が舞台上を舞う。
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